犬の脱毛の原因は?病院に行く目安とケア方法をメディカルトリマーが解説

犬の脱毛の原因は?病院に行く目安とケア方法をメディカルトリマーが解説

愛犬の脱毛を見つけると、「何か病気なのかな」「どうしたんだろう」と心配になりますよね。

犬の脱毛の原因は、病気の心配がないものから早急に治療が必要なものまでさまざまで、適切に対処してあげることが大切です。

そこで今回は、メディカルトリマーの私が、犬の脱毛の原因や病院に行くべき目安、自宅でのケア方法について解説します。

動物病院を受診する目安もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

 ■ 執筆者保有資格
メディカルトリマー、犬の皮膚被毛ケアリスト、動物介護士、ペットフーディスト ほか

 

犬の脱毛の原因7つ

そもそも犬の「脱毛」とは、自然な抜け毛や換毛期による抜け毛、老化による毛量の減少などではなく、皮膚の一部や広い範囲で毛が抜け落ちて、地肌が見えるような状態を指します。

そのため、換毛期や加齢による抜け毛は自然な現象で特に問題はありませんが、地肌が見えるくらい抜けるときは注意が必要です。

では、犬の脱毛にはどのような原因があるのでしょうか。ここで詳しく見ておきましょう。

 

栄養不足によるもの

犬の毛の健康には、良質なタンパク質やオメガ3などの必須脂肪酸、ビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素が不可欠です。

 ■ 栄養素と被毛の関係

【タンパク質(主にアミノ酸)】
毛の主成分であるケラチンを作る
…必須アミノ酸が不足すると毛の材料が足りなくなり、毛が細くなる・抜けやすくなる

【必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6など)】
皮膚の表面に皮脂膜を作る
…不足すると皮膚が乾燥してかゆみやフケが出やすくなり、犬が掻くことで毛が抜けやすくなる

【ビタミン(特にビタミンA・E・B群)】毛や皮膚の新陳代謝をサポート
…不足すると毛の生え変わりが遅れたり、毛がもろくなる

【ミネラル(亜鉛・銅など)】
毛の生成に関わる酵素の働きをサポート
…不足すると毛が細くなったり、抜けやすくなる

これらが不足すると、脱毛することがあります。

 

ストレスによるもの

犬がストレスを感じると、ホルモンバランスや自律神経の乱れにより、毛の生え変わりに影響して脱毛を引き起こすことがあります。

また、犬が気持ちを落ち着かせようとして自分の体を過剰に舐めたり噛んだりすることもあり、その結果として部分的に毛が抜けることも珍しくありません。

さらにストレスによって皮膚のバリア機能が低下することで乾燥や軽い炎症が起こり、かゆみを感じやすくなるなど、悪循環に陥りやすくなります。

 

感染症によるもの

犬の脱毛でよく見られる原因のひとつが、皮膚の感染症です。

細菌や真菌、ダニなどが皮膚に感染すると毛が抜けることがあります。

脱毛を起こす感染症で犬に多いのが、マラセチア性皮膚炎や膿皮症、ニキビダニ症などです。

感染症の中にはかゆみを伴うものもあり、犬が掻き壊して脱毛につながることも少なくありません。

実際、私の高齢愛犬(虹組)の1匹が膿皮症になったとき、かゆみや違和感から皮膚にできたかさぶたを剥がそうと噛んで、余計に脱毛が広がってしまったことがありました。

感染症はそうした二次的な脱毛もあり得るので、注意してあげましょう。

犬の皮膚病については、以下の記事をチェックしてみてくださいね⇩

 犬の皮膚病|症状・種類・原因とケア方法をメディカルトリマーが解説

 

アレルギーによるもの

食物アレルギーや花粉・ハウスダスト・ノミなどの環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)が原因で脱毛することもあります。

アレルギーはその犬のアレルゲンとなる物質が体内に入ったり、皮膚に付着することで起こりますが、皮膚の赤みや強いかゆみを伴います。

そのため、犬が掻き壊して脱毛することも珍しくありません。

食物アレルギーの発症は子犬に多く見られますが、それまで問題なかった食べ物に対して突然発症することもあり、子犬〜シニア犬まで注意が必要です。

さらに、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は併発することも多く、アレルゲンの特定が難しいこともあります。

 

ホルモンの病気によるもの

犬の脱毛は、ホルモンの病気でも見られることがあります。

代表的な病気は甲状腺機能低下症やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、アジソン病(副腎皮質機能低下症)などですが、ほとんどの場合かゆみなどの症状がありません。

 ■ それぞれの病気で見られる脱毛の特徴

・甲状腺機能低下症
…鼻の周りや体、しっぽの毛などが左右対称に脱毛

・クッシング症候群
…背中やお腹などの体幹部の毛が薄くなったり、体に左右対称の脱毛

・アジソン病
…全身の毛が薄くなる

こうしたホルモンの病気による脱毛は徐々に抜けていくため気づきにくく、注意が必要です。

 

遺伝によるもの

一部の犬種では、脱毛しやすい体質であったり、特定の毛色に沿った脱毛が見られることがあります。

 ■ 犬の代表的な脱毛タイプ

・淡色被毛脱毛
…淡い色の毛の部分が抜ける
【注意犬種】淡色の毛をもつ犬

・黒色被毛形成異常症
…黒色の毛の部分だけが抜ける
【注意犬種】2色以上の毛をもつ犬

・パターン脱毛症
…お腹に左右対称の脱毛が見られることが多く、背中や足先には起こらない
【好発犬種】チワワ、ミニチュアダックス、ミニチュアピンシャーなど

・脱毛X(アロペシアX)
…体全体の毛が薄くなるが、頭と足は残る
【好発犬種】ポメラニアン、チワワ、トイプードル、パピヨンなど

どのタイプも通常はかゆみや赤みを伴わず、犬の健康に大きな問題はありません。

ただし、病気が原因での脱毛なのか、遺伝による脱毛なのかを飼い主さん自身が判断することはできないため、獣医師にご相談ください。

【関連記事】
犬のアロペシアXに必要な保湿とは?脱毛対策に役立つケアを専門家が解説

 

その他の病気によるもの

犬の脱毛は、全身の病気が原因で引き起こされることもあります。

 ■ 脱毛を引き起こすこともある代表的な病気の例

・皮膚腫瘍
…悪性の場合、初期に脱毛が見られることがある

・自己免疫性疾患
…犬では非常にまれだが、免疫の異常によって部分的に脱毛することがある など

これらの病気による脱毛は、感染症なのかアレルギーなのかなどの区別が難しく、動物病院を受診することが大切です。

 

犬の脱毛で動物病院に行く目安

犬の毛が抜ける原因は、換毛期や老化などの自然なものから、ストレスや栄養不足、病気などさまざまです。

そのため、どんな症状があったら動物病院を受診すべきか迷うこともあるでしょう。

わかりやすいように目安をまとめてみたので、参考にしてみてください。

・地肌がはっきり見えるほどの脱毛がある
・部分的または左右対称に脱毛がある
・脱毛が短期間で広がっている
・皮膚にかさぶたやフケが目立つ
・皮膚に異臭や分泌物がある
・皮膚の黒ずみが増えた
・皮膚に赤みやかゆみがある
・皮膚にしこりや腫れがある
・執拗に舐めたり噛んだりしている
・以前より水をたくさん飲むようになった
・以前よりトイレの回数が増えた
・体重の増減、元気の低下、食欲の変化など全身症状がある
・換毛期でないのに毛が異常に抜ける など

上記のような症状が1つでもある場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

動物病院では、皮膚や被毛の検査だけでなく、血液検査やエコー検査、レントゲン検査が必要なこともあります。

病気であった場合、早期発見・早期治療が重要となるため、少しでも気になる症状があるときは獣医師に相談しましょう。

 

犬の脱毛の自宅でできるケア方法5つ

犬の脱毛は、原因によっては動物病院での治療が必要ですが、日常的なケアも重要なポイントです。

ここでは、自宅でできるケア方法を5つご紹介します。

①ブラッシングで通気性を保つ

犬の脱毛のケアには、皮膚の健康を保つことが重要です。

ブラッシングで被毛の通気性を保ち、抜け毛やフケ、汚れなどを取り除いてあげましょう。

 ■ 犬のブラッシングの頻度(目安)

・長毛種(トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ミニチュアダックスなど)
…毎日

・短毛種(柴犬、ミニチュアピンシャー、コーギー、パグなど)
…週に2〜3回。換毛期は毎日

毛がもつれると皮膚に湿気や汚れがこもり、炎症やかゆみを引き起こしやすくなります。

ブラッシングはマッサージ効果があるのはもちろん、愛犬の皮膚状態をチェックする機会にもちょうど良いですよ。

 

②生活環境を清潔に保つ

ベッドや毛布、カーペットなど、愛犬がよく過ごす場所はこまめに掃除・洗濯しましょう。

ダニやホコリなどはアレルギーの原因となったり、皮膚トラブルを悪化させる原因にもなります。

愛犬の生活環境を清潔に保つことも、皮膚の健康を守る基本です。

 

③栄養バランスの良い食事にする

偏った食事は毛のパサつきや脱毛の原因になるため、栄養バランスの良いフードを選びましょう。

皮膚や毛はタンパク質や必須脂肪酸、ビタミン・ミネラルから作られます。

摂取したタンパク質の30%が皮膚と毛の健康維持に使われるため、良質なタンパク質を意識してあげることも大切です。

獣医師と相談して、必要に応じたサプリメントを取り入れることも検討してみても良いでしょう。

 

④ストレスを軽減する工夫をする

脱毛のケアには、愛犬のストレスを軽減してあげることも大切です。

安心できる環境づくりに加え、日頃から適度な運動や遊び、コミュニケーションの時間を確保するなど、ストレスを和らげてあげることを意識しましょう。

 

⑤保湿ケアを取り入れる

犬用の保湿スプレーやローションを取り入れて、皮膚のうるおいを守ってあげましょう。

乾燥は皮膚バリアの低下やかゆみを招きやすく、結果的に脱毛につながることがあります。

健康な皮膚・被毛の犬でも毎日の保湿が大切と言われているほど保湿ケアは重要なポイントです。

シャンプー後はもちろん、日常的に使うことで乾燥や刺激から皮膚を守ることに役立ちますよ。

犬の皮膚の乾燥については、こちらをご覧くださいね⇩

 愛犬の皮膚がカサカサ!原因や自宅できるケアと病院に行くべき目安を解説

 

愛犬の脱毛ケアには「ハダファイン」がおすすめ!

愛犬の脱毛ケアにおすすめなのが、乳酸菌代謝物質からできている「ハダファイン」です。

 ■ ハダファインがおすすめの飼い主さん

・愛犬の保湿ケアをしてあげたい
・愛犬の皮膚の健康を保ちたい
・愛犬の皮膚に悩みがある
・安心して使える製品を探している
・手軽に使えるものが良い など

 

ハダ【レビュー】ハダファインをスプレー化して愛犬に使ってみた!専門家の使用レビュー
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私が実際に使ってみた詳しいレビューは、こちらからご覧くださいね⇩

 【レビュー】ハダファインを愛犬に使ってみた|専門家が使用感を本音でレポ
 【レビュー】ハダファインをスプレー化して愛犬に使ってみた!専門家の使用レビュー

 

まとめ

換毛期や老化などの自然な換毛と違い、犬の脱毛には必ず何らかの原因があります。

原因をつきとめ、適切に対処してあげることが大切です。

見た目で判断することはできないため、愛犬に脱毛が見られたときは早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、日頃から自宅でできるケア方法を行うことで、愛犬の皮膚や被毛の健康を保つことに役立ちます。

愛犬の些細な変化にも気づけるように、しっかりケアを行ってあげてくださいね。

 

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執筆者:高田(メディカルトリマー、犬の皮膚被毛ケアリスト、動物介護士、ペットフーディスト ほか)

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