犬のアロペシアXに必要な保湿とは?脱毛対策に役立つケアを専門家が解説

犬のアロペシアXに必要な保湿とは?脱毛対策に役立つケアを専門家が解説

アロペシアXは、徐々に犬の被毛が薄くなっていく脱毛症の一種です。

「進行性」ということもあり、愛犬の見た目の変化に戸惑っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

アロペシアXにはさまざまな治療法がありますが、今のところ必ず効果があるという治療法は見つかっていません。

だからこそ、できる限り悪化を防ぎ、皮膚環境を整える日々のケアが大切です。

この記事では、メディカルトリマーや犬の管理栄養士の私が、犬のアロペシアXの基礎知識や保湿の必要性、自宅でのケア方法についてわかりやすく解説します。

 【執筆者保有資格】
動物介護士、メディカルトリマー、ホリスティックケアカウンセラー、ペットフーディスト、犬の管理栄養士 他


そもそも犬のアロペシアXとは?特徴や発症しやすい犬種

アロペシアXは、犬の毛の生え変わるサイクル「毛周期」が正常に働かなくなることで起こる脱毛症です。

毛周期停止や脱毛症Xと呼ばれることもあります。

通常、犬の毛は「成長期 → 退行期 → 休止期 」というサイクルで毛が生え変わります。

成長期
…被毛が遺伝で決められた長さまで伸びる時期
退行期
…被毛の成長が止まる時期
休止期
…古い被毛が抜け落ち、新しい被毛を準備する時期

しかし、アロペシアXになるとこのサイクルが乱れて「休止期」で止まってしまい、新しい毛が生えてこなくなるのです。

その結果、徐々に脱毛が進行してしまいます。

 

アロペシアXの原因

犬のアロペシアXのはっきりとした原因は、まだ完全に解明されていません。

しかし、近年の研究からは、ホルモンバランスの乱れや遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられています。

そのため、アロペシアXの治療にはホルモン剤の投与や避妊・去勢手術が行われることもありますが、治療法も個体ごとに異なるのが現状です。

 

アロペシアXの症状

アロペシアXの主な症状は、左右対称にゆっくりと進行する「非炎症性の脱毛」です。

脱毛した部分の皮膚に黒ずみ(色素沈着) が見られることもあります。

皮膚にかゆみや赤みは見られず、見た目の変化だけが徐々に現れるため、初期段階では気づきにくいことも少なくありません。

アロペシアXによる脱毛は、首周りやしっぽ、大ももの裏側などから始まり、頭部と四肢を除いた全身に広がっていくのが特徴です。

最初はオーバーコート(しっかりした上毛)から抜け落ち、次にアンダーコート(ふわふわした下毛)も徐々に失われ、胴体にうっすら産毛が残るだけの見た目になることもあります。

 

アロペシアXになりやすい犬種

アロペシアXは、ポメラニアンやチワワ、パピヨン、トイプードル、シベリアンハスキー、サモエドなどが好発犬種として知られています。

しかし、どの犬種でもなる可能性はあり、普段から愛犬の皮膚の様子を観察することが大切です。

 

犬のアロペシアXに保湿が必要な2つの理由

犬の皮膚はとてもデリケートです。

だからこそ、皮膚が健康な犬でも保湿を行うことは欠かせません。

特にアロペシアXのように毛が抜けてしまっている状態では、皮膚を守るための保湿が
より重要な意味を持ちます。

今後のケアのためにも、ここで保湿が必要な理由を詳しく見ておきましょう。

 

皮膚のバリア機能の低下を補うため

脱毛している部分の皮膚は乾燥しやすく、バリア機能が弱まっているため、保湿で補ってあげる必要があります。

本来、毛と皮脂には紫外線や外部からの刺激、細菌、乾燥などさまざまなものから皮膚を守る働きがありますが、アロペシアXによって毛が失われることで皮膚がさらされた状態になります。

このような状態では、ちょっとした刺激でも炎症を起こしてしまったり、乾燥によるかゆみで搔き壊してしまったりと、皮膚トラブルにつながりやすくなります。

そのため、保湿で水分や油分を補い、皮膚バリアをサポートしてあげることが大切です。

 

皮膚のターンオーバーを整えるため

皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を整えてあげるためにも、保湿は重要な役割があります。

乾燥はターンオーバーの乱れを引き起こすこともあり、色素沈着や皮膚のバリア機能の低下、抜け毛の原因にもつながります。

保湿は角質層にうるおいを与え、皮膚細胞の生まれ変わりを促すことで、健やかな皮膚環境づくりをサポートすることにも欠かせません。

 

アロペシアXの犬に自宅でできる保湿ケア3つのポイント

アロペシアXの犬の皮膚は乾燥しやすく、外部の刺激に敏感になっています。

そのため、動物病院での治療と並行して、自宅でも日常的なケアを続けることがとても大切です。

ここでは、飼い主さんが自宅で取り入れやすい保湿ケアのポイントを3つご紹介します。

 

① 外から保湿してあげる

保湿剤を使って、皮膚に直接うるおいを与えてあげましょう。

 ■ 主な保湿剤のタイプと向いている部位

ローションタイプ
…胴体や足など。被毛が多い部位にも使いやすい
乳液タイプやクリームタイプ
…お腹など。被毛が少ない部位向き
ジェルタイプ
…肉球など。表皮が硬い部位向き

このほか、かけ流しタイプやスプレータイプなどもあります。

毎日の使いやすさで言うと、ローションタイプやスプレータイプがおすすめです。

保湿剤を選ぶときは、できる限り犬の皮膚に負担をかけないように低刺激で犬用に設計されたものを選びましょう。

近年、人間では乳酸菌由来の成分が含まれる肌ケア製品が皮膚を健やかに保つとして注目されています。

犬用でもそうした製品があるので、皮膚にかかる負担をできる限り和らげてあげたい場合はそうした保湿剤を選んであげると良いでしょう。

なお、保湿は入浴後やブラッシングの後など、皮膚が清潔なタイミングで行うことがポイントです。

 

② 内側からサポートしてあげる

犬の皮膚の健康を保つためには、食事や水分摂取など内側からのサポートも大切です。

皮膚の健康を維持するために必要な栄養素をまとめてみました。

 ■ 皮膚の健康維持に関係する栄養素

良質なタンパク質
…肉、魚、卵、乳製品、大豆 など
必須脂肪酸
…オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸
脂溶性ビタミン
…ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE
水溶性ビタミン
…ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC
その他
…亜鉛、銅、必須アミノ酸 など

通常、総合栄養食と書かれているドッグフードには必須ミネラル(亜鉛や銅など)や必須アミノ酸、必須脂肪酸が含まれています。

しかし、必須脂肪酸などはドッグフードだけでは十分な量を補うことが難しいため、サプリメントや皮膚用療法食を活用することも検討してみましょう。

ただし、療法食は獣医師の指導のもと使用することが原則のため、愛犬に与える場合は必ず事前にかかりつけの獣医師にご相談ください。

また、体内の水分量が不足すると皮膚の乾燥を起こすことがあります。

このとき、単純に水分量を増やせば良いというものでもなく、水分と油分のバランスが重要なので、ウェットフードを取り入れるなど適度に油分が含まれているものを与えるのがおすすめです。

 

③ 乾燥させない環境をつくってあげる

日常生活の中でも、犬の皮膚を乾燥させない環境づくりが大切です。

冬場や空調の使用で湿度が下がる季節には、加湿器を使って室内の湿度を50%前後に保つようにしましょう。

また、静電気や摩擦も皮膚の刺激となり、乾燥を悪化させる原因になります。

ベッドやクッションなどの寝具はやわらかい素材を選び、乾燥しやすい日は洋服で皮膚を保護するなど、できる限り皮膚の負担にならないように配慮してあげましょう。

 

アロペシアXの犬にやってはいけないNGケアとは?○○に注意

アロペシアXの犬には「保湿が大事」とよく言われますが、間違ったケアをしてしまうとかえって皮膚の状態を悪化させてしまうこともあります。

愛犬の皮膚を守るつもりのケアが知らないうちに逆効果になっていないか、一度見直してみましょう。

ここでは、アロペシアXの犬にやってはいけないNGケアについて解説します。

 

過度なシャンプーやブラッシング

毛が抜けて気になるあまりに、頻繁にシャンプーしたり強くブラッシングするのはやめましょう。

過度なシャンプーやブラッシングは皮膚を刺激し、かえって状態を悪化させてしまう恐れがあります。

シャンプーの頻度は、その犬の皮膚の乾燥具合や状態によっても異なるため、必ずかかりつけの獣医師に確認しましょう。

また、ブラッシングも皮膚に直接触れるため、力加減に注意が必要です。

皮膚を傷つけないように、毛の流れに沿ってやさしく、最低限のケアを心がけてくださいね。

 

刺激の強いシャンプーや薬用成分に注意

アロペシアXの犬は、皮膚のバリア機能が低下していることが多いため、刺激の強い成分には注意が必要です。

洗浄力の高すぎる界面活性剤、アルコール、香料、着色料などが含まれているシャンプーは、皮膚をさらに乾燥させたり、炎症を起こす原因になりかねません。

また、市販されているシャンプーで「薬用」と表示されていても、すべての犬に合うとは限りません。

皮膚の状態によっては、含まれている成分が刺激となることもあるため、自己判断での使用は避けましょう。

 

自己判断での治療や市販薬の使用

「脱毛している=皮膚病」と思い込み、人間用のかゆみ止めや皮膚用クリームを塗ったり、薬を飲ませることは絶対にやめてください。

人間と犬では皮膚の構造も体への薬の影響もまったく異なるため、とても危険です。

また、ネットなどで犬用の薬が販売されているのを見かけることもあると思いますが、あまりおすすめできません。

アロペシアXのように原因がはっきりしない疾患では特に、獣医師の診断が不可欠です。

自己判断せず、必ず動物病院を受診してから対処するようにしましょう。

 

犬のアロペシアXによくあるQ&A

ここでは、犬のアロペシアXによくある疑問をQ&A形式でご紹介します。

Q1. 犬の保湿ってどれくらいの頻度でやればいいの?

A.1日1〜2回の保湿が基本ですが、使用する製品や犬の肌質にもよって異なります。

最初は1日1回から始めて、様子を見ながら頻度を調整しましょう。

 

Q2. 犬のアロペシアXは治る?

A. 原因がはっきりしていないため完治は難しいですが、根気強く治療を続けることで脱毛が改善することもあります。

ただし、個体差があるため、すべての犬が必ず改善するとは限りません。

 

Q3. アロペシアXは命にかかわる病気?

見た目の変化はありますが、痛みやかゆみはなく、犬の生活の質を損なう病気ではないので安心してください。

ただし、同じような脱毛症状を起こす病気もあり、その場合は命にかかわることもあるため、必ず動物病院を受診してください。

※状況や体調によって回答が異なるケースがあります。
愛犬の体調について心配なことがあれば、かかりつけの動物病院へご相談ください。

 

まとめ

アロペシアXは原因がはっきりと解明されていないため、根本的な治療が難しい皮膚疾患です。

予防法がなく、再発の可能性がある病気でもあります。

だからこそ、毎日の保湿ケアで皮膚のコンディションを整え、皮膚トラブルを防ぐことがとても重要です。

無理のない範囲で、愛犬のうるおいを守るケアを続けてあげましょう。

 

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<参考文献>
「Alopecia X in dogs: report of seven cases」
「Comparing treatments for restoring the skin barrier in atopic dogs」
「Diet and skin disease in dogs and cats」
「20 Dog Shampoo Ingredients To Avoid」
ペット栄養学会誌「痒いところに手が届く皮膚病の検査 被毛と毛周期に関する基礎知識」

執筆者:高田(動物介護士)

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