犬の皮膚ケアというと、シャンプーや保湿など、外側からのケアに目が向きがちですね。
確かに外側からのケアも重要ですが、実は皮膚は体の内側の状態とも無関係ではありません。
近年は犬のアトピー性皮膚炎と腸内細菌叢の関係を示す研究も報告されており、腸内環境を健康に保つことが大切だと考えられています。
もちろん、乳酸菌だけで皮膚トラブルが解決するわけではありませんが、毎日の健康管理のひとつとして取り入れる価値は十分にあるでしょう。
そこでこの記事では、犬の皮膚ケアに乳酸菌がおすすめの理由をメディカルトリマーが解説します。
乳酸菌の与え方のポイントもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
| 執筆者:高田
【保有資格】 |
犬の皮膚ケアに乳酸菌がおすすめの3つの理由
もともと犬の腸内には、人間と同じように多種多様な細菌(腸内フローラ)が存在します。
犬の理想的なバランスは善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%とされていますが、ストレスや食事内容、老化などさまざまな理由でバランスが崩れてしまうことも珍しくありません。
乳酸菌は、それ自体が善玉菌として働くほか、腸内にいる善玉菌を元気にしてくれるため、腸内環境を健康に保つサポートに役立ってくれるのです。
では、なぜ犬の皮膚ケアに乳酸菌がおすすめなのでしょうか。
ここでその理由を見ていきましょう。
腸内環境は皮膚の健康と深く関わっている

腸と皮膚は別の器官ですが、相互に作用しあう関係性「腸皮膚相関(ちょうひふそうかん)」が確認されています。
たとえば、腸内環境が乱れれば皮膚の状態が悪化しやすくなり、皮膚に炎症が起これば腸内環境に影響を与えやすくなるというものです。
腸には多くの免疫細胞が集まり、腸管バリアが異物や有害物質の侵入を防ぐことで、過剰な免疫反応や炎症を抑えています。
しかし、腸管バリアが正常に働かずに腸管炎症が起こると、そこから細菌由来成分や異物、炎症を広げる物質が体内に入りやすくなり、皮膚だけでなく全身に影響を及ぼす可能性があるのです。
乳酸菌を摂取することは、直接皮膚のケアになるわけではありません。
しかし、善玉菌を元気にして腸内環境を健康に保つことは、皮膚のケアのサポートにもつながるでしょう。
皮膚ケアは外側のケアだけでは足りない
前述したように、腸と皮膚はとても深い関係があるため、外側からのケアだけでなく体の内側にも目を向けましょう。
そもそも皮膚や被毛は、食事から取り入れた栄養をもとにつくられています。
たんぱく質や必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどが不足すれば、皮膚のうるおいやバリア機能を保ちにくくなります。
こうした栄養の消化・吸収に深く関わっているのが腸です。
どれだけ皮膚に必要な栄養を摂っていても、きちんと消化・吸収できなければ、健康な皮膚を保つために十分に活かすことはできません。
乳酸菌は皮膚に必要な栄養を補うものではありませんが、腸内環境に配慮することで、こうした栄養を取り込みやすい状態を支えることにもつながります。
犬の皮膚にいい食べ物については、以下の記事もチェックしてみてくださいね⇩
【関連記事】
腸内環境は加齢とともに乱れやすくなる
犬の腸内環境の状態は日々変化していますが、年齢を重ねると善玉菌や悪玉菌のバランスが乱れやすくなります。
実際に、犬の腸内細菌叢を年齢別に調べた研究では、高齢になるにつれて乳酸菌の数や存在率が減少するという報告がありました。
腸内環境の乱れは、腸管バリアや消化・吸収の働きにも影響するため、乳酸菌を意識して取り入れてあげることが大切なのです。
犬の皮膚ケアのために乳酸菌を正しく取り入れる方法
犬の皮膚ケアのために乳酸菌を取り入れるなら、ただ与えればいいわけではありません。
ここでは、乳酸菌を正しく取り入れるためのポイントを見ていきましょう。
毎日継続して与える
乳酸菌は、毎日継続して与えましょう。
乳酸菌は犬の体がつくり出す成分ではなく、母犬の乳や住環境、食事などを通して腸内に取り込まれていく細菌のひとつです。
しかし、そのままずっと腸内にとどまり続けるというわけではなく、便とともに排出されます。
そのため、「特別なときだけ」や「短期間集中して与える」のでなく、毎日継続して与えることが大切なのです。
実際、高齢犬にプロバイオティクスを4週間継続して与えたところ、抗酸化力や腸管での吸収が促進されたという報告がありますよ。
与えやすいものを選ぶ
乳酸菌を取り入れるうえで大切なのは、愛犬が無理なく続けられるものを選ぶことです。
どれだけよさそうな成分でも、嫌がって食べなかったり、与えるたびに手間がかかったりすると、毎日の習慣にはしにくくなるでしょう。
乳酸菌を含むものには、ドッグフードに配合されたタイプのほか、サプリメントの粉末や粒状、ペースト、おやつタイプなどさまざまな形状があります。
ただし、ドッグフードに含まれる乳酸菌はそこまで配合量が多いわけではありません。
そのため、しっかり乳酸菌を取り入れたいなら、菌の種類や含有量が明確なサプリメントを選んだほうがいいでしょう。
また、ヨーグルトやナチュラルチーズにも乳酸菌は含まれているので、愛犬の好みや食べやすいものを選ぶのがおすすめです。
犬の皮膚ケアに乳酸菌を与えるときの注意点
乳酸菌は犬にとって積極的に取り入れたいものですが、与えるときには注意しなければいけないこともあります。
ここでは、注意点について知っておきましょう。
食物アレルギーに注意する
乳酸菌そのものが食物アレルギーを起こすことはありませんが、乳酸菌を含む食品やフード、サプリメントに使われている原材料には注意が必要です。
特にヨーグルトやチーズなどの乳製品、肉類、大豆、小麦などは、犬によっては体に合わないことがあります。
初めて愛犬に与えるものは、少量から始め、食後30分〜48時間程度は様子を見てあげましょう。
| 【犬の食物アレルギーの主な症状】 ・肛門周囲、わきの下、背中、お腹などの皮膚の赤みやかゆみ ・目・口の周りの赤みやかゆみ、左右対称の脱毛 ・足先を執拗に舐めたりかじったりする ・耳のかゆみや臭い、耳垢が増える ・嘔吐や下痢、軟便 ・便の回数が増える など |
こうした症状が見られる場合は、その食品や製品が合っていない可能性があるため、無理に続けずまずは動物病院を受診してください。
与えすぎない
乳酸菌を含む食品やサプリメントを過剰に与えると、余計なカロリーや脂質、糖分、塩分まで摂ってしまうこともあります。
特にヨーグルトやチーズ、おやつタイプの商品は、乳酸菌以外の成分にも目を向けることが大切です。
また、乳酸菌に副作用はありませんが、与えすぎるとまれにガスや胃腸の不快感を起こすことがあるため、製品ごとの給与量の目安を守りましょう。
特にヨーグルトやチーズは栄養価が高いため、肥満にならないように少量にとどめるようにしてください。
冷たいままでは与えない
乳酸菌を含むヨーグルトなどを与えるときは、冷蔵庫から出してすぐの冷たい状態のまま与えないようにしましょう。
冷たすぎるものは胃腸に負担をかけやすく、お腹が冷えて下痢や軟便につながることがあります。
ヨーグルトを与えるときは常温に戻すか、電子レンジで人肌程度(10秒程度)に温めてあげることをおすすめします。
栄養制限を指示されている犬は事前に獣医師に確認する
療法食を食べている犬や、特定の栄養制限を指示されている犬に乳酸菌を取り入れるときは、事前に獣医師へ確認しましょう。
乳酸菌そのものは問題になりにくいものですが、乳酸菌を含む食品やサプリメントに含まれるほかの成分が治療中の食事管理に影響してしまう可能性があります。
皮膚ケアのために乳酸菌を取り入れたい場合も、まずは今の食事療法に影響がないかを獣医師に確認することが大切です。
乳酸菌とあわせて見直したい犬の皮膚を守る生活習慣
愛犬の健やかな皮膚を保つには、乳酸菌だけでなく毎日の生活習慣もあわせて見直すことが大切です。
ここでは、意識したいポイントについて解説します。
シャンプー剤や保湿剤が合っているか確認する
使用しているシャンプー剤や保湿剤が、愛犬に合っているか確認してみましょう。
たとえば、使用後に赤みが強くなる、かゆがる、フケが増える、乾燥しやすくなる、反対にベタつきが目立つといった変化がある場合は、今使っているものが合っていない可能性があります。
また、使った直後だけでなく、数日単位でも皮膚の状態を見ることが大切です。
皮膚の状態は犬によって異なり、乾燥しやすい犬もいれば、ベタつきやすい犬、刺激に敏感な犬もいます。
そのため、「人気があるもの」や「なんとなくよさそうなもの」ではなく、今の皮膚の状態に合っているかを基準に見直してみましょう。
シャンプー剤の選び方は、以下の記事をチェックしてみてくださいね⇩
【関連記事】
|
【専門家が厳選!】おすすめ犬用シャンプー|失敗しない選び方も解説 |
シャンプーは適切な頻度で行う
シャンプーの適切な頻度は、犬種や被毛の長さ、皮膚の状態、年齢、季節、生活環境によって異なりますが、一般的には月1回前後が目安です。
シャンプーは、回数が多すぎても少なすぎても皮膚への負担になります。
洗いすぎると皮膚に必要な皮脂まで落として乾燥や刺激につながりやすく、反対に頻度が少なすぎると汚れや皮脂、アレルゲンが残ってしまうことも珍しくありません。
たくさん洗うほどいいわけではないため、シャンプーは適切な頻度で行うことが大切です。
なお、皮膚の状態によっては獣医師からシャンプーの回数を多くするように指示されることもあります。
その場合は、獣医師の指示に従うようにしましょう。
犬のシャンプーの頻度については、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】
| 犬のシャンプー頻度はどれくらい?洗いすぎがトラブルを招く理由と注意点 |
保湿は毎日行う
皮膚のうるおいを保ち、バリア機能を守るためにも、保湿を毎日の習慣にしましょう。
特に乾燥しやすい犬では、皮膚の水分が不足すると刺激を受けやすくなり、かゆみやフケ、赤みにつながります。
健康な皮膚の犬でも毎日の保湿が必要と考えられているため、1日1〜2回の保湿をすることがポイントです。
愛犬の飲水量も意識する
犬の皮膚の健康を保つためには、飲水量も意識することが大切です。
体の水分が不足すると、皮膚が乾燥しやすくなり、バリア機能の低下につながります。
特に、水をあまり飲まない犬やドライフード中心の犬、老犬では水分不足に気づきにくいことも少なくありません。
飲水量が少なすぎないか、尿の色が濃くなっていないかなどを、日頃から確認しておきましょう。
| 【犬の飲水量の目安】
体重1kgあたり50~60ml 例)体重10kgの場合、1日500~600ml程度 |
ウェットフードが中心の犬は食事から水分をとれる分、飲水量は少なくなります。
なお、体重1kgあたり100mlを超える飲水がある場合は、病気の可能性があるため早めに動物病院の受診をご検討ください(夏場や運動量が多い場合など問題ないケースもあります)。
ノミ・ダニ対策を行う
犬の皮膚を守るには、ノミ・ダニ対策も欠かせません。
ノミやダニはかゆみや赤みの原因になるだけでなく、過去にノミに刺されたことがある犬ではノミアレルギー性皮膚炎を引き起こすこともあります。
これはノミの唾液がアレルゲンとなるもので、強いかゆみによって搔き壊してしまったり、かゆみのある部分を噛んだり舐めたりして脱毛につながることも珍しくありません。
そのため、定期的に予防薬を使用するのはもちろん、散歩や外出のあとはブラッシングをしながら、被毛や皮膚の状態を確認することが大切です。
まとめ
皮膚の健康は、内側だけでも外側だけでも守ることはできません。
外側からの皮膚ケアに加えて、体の内側からもケアすることを意識しましょう。
乳酸菌は、犬の皮膚だけでなく体全体の健康維持に役立つ成分です。
毎日継続して摂取することが大切なので、愛犬にとって無理のない形で取り入れてあげてくださいね。
\ なめても安心!洗い流し不要! /
自然発酵の乳酸菌からできた入浴剤タイプの「ハダファイン」お試しセットはこちらから ⇩
<参考文献>
scientific reports「Pilot evaluation of a single oral fecal microbiota transplantation for canine atopic dermatitis」
ペット栄養学会誌「イヌ・ネコにおけるプロバイオティクスについて」
National Libray of Medicine「Gut Microbiome Dysbiosis and Immunometabolism: New Frontiers for Treatment of Metabolic Diseases」
Bioscience of Microbiota, Food and Health「Transition of intestinal microbiota of dogs with age」
ペット栄養学会誌「「プロバイオティクスの継続投与が高齢犬に与える影響について」」
World-Class「Probiotics」
msdvetmanual「Flea Allergy Dermatitis in Dogs and Cats」
執筆者:高田(メディカルトリマー、犬の皮膚被毛ケアリスト、動物介護士、ペットフーディスト ほか)
